怠惰な毎日

人間はナマケモノから進化したという新説をここに提唱する。

神戸旅行記 一日目(3)北野異人館

布引の滝でさっぱりしてきた後は、新神戸駅から少し歩いて異人館街に行って参りました。

 

一日目 旅程

三宮散策

ハーブ園

布引の滝

北野異人館

メリケンパーク、ハーバーランド(umie、ポートタワー)

 

北野異人館街。

 

下山して新神戸駅から20分くらい歩いたところにあります。

まずどういう場所? ってとこから紹介。

かつて、故国を離れた外国人たちが、海の見える高台に邸宅を構え、

故郷に想いをはせたことから誕生した街です。

今も残る異国情緒をたずねてみてください

出典:

神戸北野異人館街公式サイト ~神戸の異国情緒を異人館から~

 

つまり異国情緒の邸宅が連なってる街道ですね。

中にはモデルハウス的に内装を一般開放してる邸宅もあり、私は「坂の上の異人館」、「北野外国人倶楽部」、「山手八番館」、「うろこの家」の4宅を訪ねてきました。

不動坂という超急勾配な坂を上った先にあるので、手荷物は宿に置いてから来た方が良いです。他の家宅はわかりませんが、私の訪ねた4宅は撮影自由だったので容赦なく連写してきました。以下、その一部を乗せます。

 

坂の上の異人館

中華風の家宅です。

豪勢な造花が目に留まる寝室。

ベッドにしては、余りある程の枕がございますねえ。いわゆる、「宮廷ハーレム」ってやつですか? 

枕も色分けされてます。人は、色の違いに何らかの意味を見出そうとし、大抵それは位階と結びつけられることが多いと思います。この家主は、幾人もの愛人をランク付けしていたのかもしれません。

 

狛犬? シーサー? 

素性は不明ですが、それらしき二匹が前衛してるオリエンタルな居間。もしかすると高貴な客人を招き入れるVIPルームなのかも。

 

北野外国人倶楽部

お次は西洋風です。

窓辺にあった『闘牛』という作品。逆光で暗いですが、雄牛と人馬が対峙してる瞬間を彫刻でかたどったもの。

馬に乗って闘牛なんてすんの? って思いましたが、実際そういうパフォーマンスもあるらしいです↓。

参照 妖艶な魅力を湛える、スパニッシュホースの躯体美 | EQUUS ONLINE

生身の人でも命懸けなのに、さらに乗馬という制約をつけて闘牛するなんて…。

第三次産業内で食っちゃ寝してる私には、想像を遥かに絶する世界です。とんでもない技術が要求されるんでしょうね。でもそうやって命の瀬戸際でパフォーマンスするからこそ、闘牛は他に類を見ないほど野生的で、激しい熱狂を生み出すのかもしれません。いつか本場の闘牛見たいですね。本場じゃない闘牛すら見たことないですけど。

私心はさておき。

こちら『闘牛』の彫刻。

躍動感半端ないすよね。

まず、牛と馬の距離感。当たるスレスレまで接近していて、ハラハラする緊張感が作品全体に流れています。

そして本作の中核をなしているのが、二匹の構図とポーズです。前足を上げて首を振るような体勢の牛からは、血気盛んな突進のインパクトを感じられます。対して馬はその突進をすんででかわすように前足を上げており、その際に激しく散らかる立髪が、一瞬のリアリティを生み出しております。

また、土に足跡が彫られているのも良き。

突進する前の牛の溜めが自然と想起されて、作品に時間の前後感覚を与えています。

とまあ、牛と馬の真っ向対決だけでだいぶパワフルさを表現できていますが、悩ましいのは人ですね。

こいつはどう解釈すりゃいいんだ?

パッと見、馬の急激な方向転換で危うく落っこちそうになってる? 両手フリーで手綱も握ってないし、明らかに対応できてない感はある。あと顔もね。口が半開きなってて、なんだか情けなさを感じる。「ああっ〜」とか弱気な声が漏れてそう。

逆に両手フリーで超危険なパフォーマンスを見せつけている、という見方もできましょう。右手を開いているのはなんでだろう? 牛に対して、何か仕掛けようとしている? 掴もうとしてますよね。もしかして牛の角を? やっぱりパフォーマーか……?

…いや、でもっ!

やっぱりこいつが一秒後に落馬して牛に潰される未来しか見えない。もう、なんか弱そうだもん。顔が。

つまり、人間なんて蚊帳の外になっちゃうほどの、牛と馬の生命力たぎる対峙の瞬間を表しているのだと、私は一人で納得してます。

他には、メイドルームがありました。↑はその一角。テニスラケットが立てかけてあります。もしかしたら、ご主人様と遊んでいたのかも。こうした、部屋の中の何気ない小道具って、想像力刺激されるよね。

 

山手八番館

ここでは和洋問わず、色んな彫刻品が展示されてます。

中でも一番衝撃を受けたのは、このマコンデ彫刻と呼ばれる作品群です。

んなんじゃこりゃ!!

もう、理解不能。意味わかんない。

アフリカのマコンデ高原に住む人たちの伝統美術で、ピカソキュビズムを発展させるきっかけにもなったと言われる、ジャイアンインパクト的美術品です。

私は何かの美術革命を起こせる器じゃございませんが、おったまげたのはピカソと同じ。

彫刻って大体、整ってるじゃないすか。ダビデ像とか考える人とか。対して、こんな奇怪なデザインを彫刻で表現するって、どうかしてるぞマコンデの人々(※褒め言葉)。

これとかね。生命力の塊です。

なんだか、色々と考えさせられました。

表現することって、その人の魂そのもので、入魂をガチればガチるほど、どんな形であれ、情熱はストレートに伝わってくるのかなと。

ガチるって、大切なんや(今更)。

 

あと、個人的にはこれも面白かった。

ヒョウ?みたいな肉食獣だと思うんですが、下のウシ(もしくはヌー?)のケツに噛みついてます。でも上のウシは無傷でへいへいとたたずんでいる。 

これって、草食動物の、種族としての勝利を表してるんだと思いました。自分たちは肉食獣に食われる立場で弱肉強食の「弱」の部分かもしれないけど、子孫さえ残して繁栄できるなら、お前ら「強」なんて屁の河童やぞボケェっていう、反抗的なメッセージを感じます。

上のちっこいウシが子孫ですね。下のウシは肉食獣に食われるのでしょうけど、動じることなく4本足で立ち続けています。

自然界の厳格な掟が露骨に表現されており、称賛の意味で、超絶に「グロテスク」な作品だと思いました。

 

うろこの家

神戸で最初に公開された異人館です。

誰かの部屋です。たくさん小道具あって見応えあります。概してアウトドア派な人なんでしょうかね。

ベットに目を向けると、プレゼント箱とお人形さんを発見。誰かに送るのでしょうかね? …と思ってさらに見回してみると。

女の子の写真を発見! 子供ですよね、さすがに。私は子供にしか見えないんですけど。ともかく、部屋の主はこの子にお人形さんを送るのかもしれません。流石に実の娘さんですよね。他人の子とかいう邪推は雰囲気ぶち壊しなのでやめましょう。タイプライターに紙がセットされたままなのも、書きかけ途中のリアリティがある。

 

サロンルーム的な一角。蓄音機デカすぎ問題。音楽聴きながら話すのはいいけど、あんなどでかい蓄音機がそばにあったら、人の声なんて聞こえないんじゃないの?

 

とまあ、異人館はこんな感じでしょうか。

個人的に面白いと思ったものは他にもたくさんあります。

 

では、次は一日目の目玉、メリケンパーク、ハーバーランド編に突入します(※分量はかなり少ないですが)。